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Lee-Byung-hun addicted

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『慶州には一人で行ってきて』

「慶州には一人で行ってきて」第一話



ちょうど二人がホテルのロビーを出ようとしたその時、

揺の携帯が鳴った。

「もしもし?彰介?どうしたの?

えっ、インフルエンザ?うそぉ~。

うん、わかった。

じゃ、あとでね。とりあえずよろしくね。」

そういうと揺は電話を切った。

「どうしたの?彰介から?」

とビョンホン。


「うん、お父さんとお母さんふたりともインフルエンザにかかって、

面倒みてくれてた彰介のお母さんもうつって倒れちゃったんだって。

もうお手上げらしいわ。私、帰らないと。」

「大変じゃない。僕も一緒に行くよ」

「大丈夫。貴方にまでうつすわけにいかないし、

ジェヨンssiも待ってるでしょ。

貴方は予定通り慶州に行って。

私はとりあえず金海空港からいったん東京に帰るから。」

「じゃあ、空港まで送るよ。」とビョンホン。

「でも、今日中に撮影現場に行けなくなっちゃうよ。

今日年内撮影終わりなんじゃない?」

「う~ん」

「私は大丈夫だから気にしないで行って」

「う~ん」

「また、すぐ会えるから。ねっ」

遅れることを気遣う揺だったが

「いやっ、やっぱり空港まで送る。

そのままタクシーで行くから」

ビョンホンはそう言って譲らなかった。

二人でタクシーで急ぎ空港に向かう。

「遅くなっちゃうね。大丈夫?みんな待ってるんじゃない?」


「ジェヨンにはさっきメールしといたから。

気にしなくて大丈夫だよ。」

「私も『遠足に行く日』の撮影見たかったなぁ。

ちょっと釜山にゆっくりしすぎたわね。」

「じゃあ、昨日行ったほうが良かった?」

ビョンホンは意地悪そうに揺の顔を覗き込んで言った。

「それは・・・今日の方が良かったけど。」

揺は少し照れながら答えた。

ビョンホンは満足そうに笑って揺の手を握りながら言った。

「撮影現場はまたいつでも見せてあげるから。

それより揺がインフルエンザになったらダメだからね。

気をつけるんだよ。ちゃんと物は洗ってから食べろよ。」

「私のこと、どんな人だと思ってるの?全く」

揺は呆れて笑いながら言った。

そうこうしているうちにタクシーは空港に着き、

揺は降りた。

飛行機が出るまで見送るとビョンホンは言ったが

「また、いつでも見送らせてあげるから」

と揺に言い含められ、

ビョンホンは揺に見送られながらタクシーで空港を後にした。

しかし、彼を乗せたタクシーは数メートル走るとまた止まった。

走ってくるビョンホンを見て驚く揺。

「どうしたの?」

「忘れ物した。」

そういうとビョンホンは揺の手を引いて空港の柱の影に連れて行き、

周りをちらっと見渡した後、揺の唇にキスをした。

「こんなところで・・」

揺は少しテレながらも嬉しそうに言った。

「結構よく忘れ物するんだ。

忘れたことに気がついたらちゃんと取りに行かないと気になっちゃうからね。」

とビョンホン。

二人は笑ってもう一度熱いキスを交わす。

「プップー」

待たせていたタクシーのクラクションが二人を追い立てた。




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